三笠奈良工場を設立した2011年のことを、ふと振り返っていました。
あの年は、東日本大震災が起き、日本中が沈黙と祈りに包まれた年でした。
テレビからは、商品のCMが一斉に自粛され、代わりにあの ACジャパンのCM が何度も流れていました。 (覚えている方も多いと思います)
当時、このCMの雰囲気や曲が心に残っていたのですが、 学生たちが歩いていた場所――それが、なんと私の自宅のすぐ近くだったのです。
CMのロケ地が私の自宅近くであることは、当時から知っていました。
あの道を通るたびに、あの頃の空気や思いがよみがえります。
新しい工場を立ち上げようとしていた私にとって、その映像はどこか励ましのように感じられました。
そして今、新奈良工場の工事が再び動き出しました。 時が経ち、環境も変わりましたが、当時の「挑戦する気持ち」は少しも色あせていません。
あの2011年に感じた希望や覚悟を胸に、もう一度、奈良から新しい夢を形にしていきたいと思います。
人と人が力を合わせれば、必ず実現できると信じています。
大和高田の新奈良工場には、これからの日本のものづくりを象徴する最新設備を導入します。
新たに 島精機製作所のホールガーメント20台、5本指靴下専用機SPF-W8台、ロナティ社K式20台―― 合計48台の最新機を増設します。
さらに 生産管理システムのデジタル化、 集中ブロア装置 など、環境にも配慮した効率的な設備を整えます。
屋上には、太陽光発電を設置し、隣接する綿花畑を一望できるテラスも設ける予定です。
綿から靴下までを「見て、感じて、学べる」工場として、訪れた人の心に残る空間を目指します。
丸編みと横編みの両方の靴下生産機を揃えた最新のオープンファクトリーは、 国内でも数少ない、まさに“靴下の未来を体感できる場所”になるでしょう。
そして、私たちが目指すのは、単なる製造拠点ではなく、日本の品質と誇りを発信する舞台です。
中国製靴下との差別化を明確にし、素材・履き心地・機能性のすべてで“日本のものづくりの強さ”を示す製品開発を進めていきます。
綿花畑の向こうに見えるのは、未来の子どもたちの笑顔。
この新しい工場が、奈良から世界へ夢を届ける発信地となることを信じています。